乾いた心に踊ってばかりの国

ハバナエキゾチカが91年に出したアルバムタイトルがそのままバンド名になったと言われる踊ってばかりの国が、自主レーベルを立ち上げてから初めてのフルアルバム"光の中に"が5月にリリースされた。

メンバーは下津中心に、米騒動のドラマー坂本や解散した毛皮のマリーズの志摩が中心となってできたドレスコーズの元メンバーであるギターの丸山がいる。メンバーの入れ替わりが多くて、オリジナルメンバーの下津以外に古参なのがベースの谷山であろう。五人編成のバンドである。

※当サイトでは、ストリーミングサイトで楽しめるアーティストを中心に扱っているのだが、アルバム "光の中に"は、5月現在先行配信という事で数曲程が聴ける状態である。

いきなり話はちょっと変わるが今年の3月にSuchmosの3rdアルバム”THE ANYMAL”がリリースされた、このアルバムの内容にはSuchmosファンも含めて音楽ファンはみんな驚いたんではなかろうか?だって思いっきり期待を裏切られたからね。

ご存知の通りもうstay tuneではないのですよ。細分化していけばサイケが一番近いんじゃないかと思うんだけど、今までの期待や評価に真っ当に返すのではなくてSuchmosが持つ、時代への嗅覚やセンスに従った結果をそのまま音源化してくれたような、そんな内容になっている。少なくとも音楽の流行りやトレンドには必ず先駆者がいてSuchmosは常に最前線に立っては、新たに自らを更新するバンドなんだなと思い知らされたアルバム。個人的には一番好き。

踊ってばかりの国は、そういう意味では最前線に立つバンドの一つではなかろうか。最近人間臭い音楽に飢えている人、踊ってばかりの国がいますよ。

アルバム"光の中に”に収録されているghostという曲を聞いてみてほしい。ghostというタイトルの割に、魂の入った人間をまざまざと見せつけられる。ぜんぜんゴーストじゃない。

浮遊感のあるサウンドにボーカルの下津がエキゾチックに優しく無差別に包み込む。か細く歌った時の下津のうたが、踏み込めばピッチを外してしまいそうでヒリヒリとした雰囲気を作り出していて中毒性を生み出している。

生きてればさ失ってきた物だったり、あの頃の夢だったり、思い出せない大事な事や大事な思い出、好きだった人とのあれやこれやって、誰にだって一つや二つあるだろ?そういう普遍的なものに寄り添ってくれるんだよ!もちろん答えなんか求めてなくても踊ってばかりの国は聞いてくれるさ。俺は思い出せない気持ちも、失ってきた物もそのままでいいけどな。

正直な所、下津は表現力、歌唱力のあるボーカリストだと言い切った上で、下津のボーカルは好みの別れる歌い方だと思う。しかしああいういかにも音楽でしか食っていけなそうな雰囲気は溜まらなく好きだ。結成して10年今回紹介した3曲はこの2年でリリースされた曲であって、まだまだアルバムは出ている。是非聞いてみてほしい、きっと包み込んでくれるよ。

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