the HIATUS、新アルバム「Our Secret Spot」を語りたい

今年で結成10年を迎え、6作目となるアルバムをリリースしたthe HIATUS

去年活動を再開させたELLEGARDEN、そして2015年から活動しているMONOEYES、3つのバンドが動き続ける中でリリースされた6作目のアルバムは細美武士にとって初の境地であり、the HIATUSの集大成と言える作品になったと思う。というのもELLEGARDENはアルバムを5作品リリースし活動休止、その後の10年間にthe HIATUSは着実にキャリアを積み記念すべき6作目となる今作「Our Secret Spot」が生まれた。

今ままでと違った点はApple Music等、サブスクリプションサービスでも配信されているということ。「自分たちの曲も聴きたい」という事らしいが、結果的には細美武士が所属するバンドの中でも一番時代を意識したバンドのように感じる。

the HIATUSの三つの顔

the HIATUSは元々細美武士のソロプロジェクトとして発足したバンドであり、このプロジェクトに集まったメンバーもそれぞれ素晴らしいキャリアを積んで着た猛者たちが集まってできている。

そしていつの間にやら1stアルバムを出すまでにバンド名が決まり、現在ではソロプロジェクトの事など忘れ去られている。それだけメンバー全員の色が見事に調和しているからだ。

それでは今回のアルバムについて書いていこうと思う。

今回のアルバム「Our Secret Spot」に到るまでにthe HIATUSのサウンドは三つの段階に分けることができる。

1. ロックサウンドに傾倒した1st「Trash We'd Love」、2nd「ANOMALY」

休止前のエルレよりメロディアスでよりエモーショナルに。今まで見れなかった細美武士のソングライターとしての振れ幅の広さが伺える初期の2枚が第一段階と言える。the HIATUSとしてメンバー全員の呼吸を合わていた時期でもあるだろう。

この頃、MIYAVIの「SAMURAI SESSIONS vol.1」に細美武士も参加していて、結果的には見事に細美武士の土俵にMIYAVIを引っ張る形となっていた。まだ聞いた事のない方は是非聞いてみて欲しい。

Miyavi  Takeshi Hosomi "Silent Anger"

 

2. アコースティックサウンドを取り入れていった3rd「A World Of Pandemonium」

このアルバムはアコースティックギターのリフ、アルペジオが各楽器に絡み合う旋律の美しさが際立ったサウンドになっている。吹奏楽器を大きく取り入れたのも大きな特徴。

これまでは毛色の違う新たな側面を見せてきたthe HIATUSの中でも特異なアルバムと言えるだろう。

the HIATUS "Deerhounds"

 

3. 最新作「Our Secret Spot」に繋がる4th「Keeper Of The Flame」、5th「Hands Of Gravity」

これまでのアルバムを踏襲しながら新たなサウンド、方向性へと振り切っていったこの2枚。

緻密にアレンジされたこの2枚のアルバムは実験的でありながら完成されていて聞けば聞くほどに深みにハマっていく。ボーカルが鮮明に聞こえすぎるようにも感じるが、それは聞く側の良し悪し。

兎にも角にもthe HIATUSという名のパズルのピースが出揃ったという所だ。

サウンド面以外にも細美武士という方は、エルレの頃から無駄も不足もない本当にいい詩を書く。

だからこそ良いメロディが良いメロディのまま生かされてる。

 

Our Secret Spot

ご存知の通り今現在ロックバンドは世界の中心にいない。

いるのはヒップホップやEDMサウンドだ。

そういった流れはガラパゴス化されている日本の音楽シーンにさえも影響していて、世界のトレンドを取り入れた楽曲が日々作られている。

パソコン1台あればバンド組まなくたって多種多様、様々な音楽ジャンルの楽曲制作を一人で完結させてしまう事ができるし、

MacBookを買えばGarageBandというDAWが頼みもしないのにインストールされている時代だ。

対してバンドという生き物は使えるカードが限られているし、その不自由さで今の時代の覇権を握れなくなってしまったのかもしれない。

しかし今回のthe HIATUSがリリースした6thアルバム「Our Secret Spot」はこれまでのパズルのピースが揃った集大成で、

今の時代のロックバンドのあり方を追求し続けたthe HIATUSの「答え」のように感じる。

もちろんシンセを含めた電子音は使ってない訳ではない。「最低限、必要な分だけ」なのだ。

それぞれ個々の音を最大限引き出して余計な物は一切削ぎ落とした結果、息遣いが聞こえてきそうな程に生モノなサウンドに仕上がっている。鮮明クリアに聞こえるボーカルが心地いい程くらいだ。

これまでの6枚のアルバムで見せてきたthe HIATUSの振れ幅の広さは、細美武士の吸収力の高さによる所も大きいと思う。

次のアルバムが何年後になるかはわからないが、きっとまた膨大な情報量を吸収して音となって出力されると思うと楽しみだ。

それでは〜

 

 

 

 

 

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