湯木慧(ゆき あきら)は98年生まれ現在21歳の女性シンガーソングライターだ。
アコースティックギターを片手に触れてしまえば途切れてしまいそうな声と、独特の世界観を持った言葉の世界、浮遊感のあるメロディが特徴的でコアな音楽ファンの間で話題になっている。今回は湯木慧についてブレイクしてしまう前にチェックしてみよう。
湯木慧 "バースデイ”
2019年6月にリリースしたメジャーデビューシングル「誕生〜バースデイ〜」から”バースデイ”を聞いてみて欲しい。<生きる事>や<生命>を題材に、この世に生まれ落ちてきて成長していく事を歌っているのだが所謂、応援ソングの持つ売れ線の言葉や押し付けがましさは一切ない。
言葉の不純物を取り除いた美しさでただ寄り添って肯定してくれる。ここに彼女の魅力を感じる。
湯木慧 "一匹狼"
湯木慧の音楽活動の原点は動画サイトでの活動が最初だそうだ。似た経歴で有名どころと言えば米津玄師がいる。ニコニコ動画でボカロPとして火がついた彼は、シンガーソングライターとして表舞台を主戦場に変え瞬く間に日本屈指のアーティストへと成長していった。
比べる訳ではないが湯木慧にも共通点はあるのではないだろうか?DTMを使いこなし楽曲に柔軟なサウンドアレンジを取り入れて、アート作品も手がけている。単にアコースティックギターを引き語る女性シンガーという枠では収まらない才能の持ち主であるし、いい意味で今時だ。
湯木慧 "ハートレス-路地裏録音-"
21歳という若さで<命>と向き合い、一人一人と向き合うように歌い上げる。平然とした態度で実は内でグツグツとエネルギーを燃やす様に歌うその姿は、湯木慧という女性シンガーの世界観を唯一無二の存在へと押し上げる。そしてそれは数ある女性シンガーと一線を画する理由の一つになるだろう。
何よりも僕は湯木慧というシンガーソングライターに初期衝動を感じてしまっている。放たれる静かなエネルギーは、荒削りでまだ成熟していない完璧さを纏っている。
ちなみに初期衝動とは、すごく抽象的な言葉ではあるが若手バンドのアルバムやライヴなどを語る時にプラスな意味で使われる言葉だ。極端な話になるが逆を言うと成熟した演奏技術と音楽的知識を深めたミュージシャンには初期衝動を感じる音源やライブはできない事になる。
要は(若さ)(無鉄砲さ)(メッセージ性)など定義しようのない言葉であるが、ロックにおける初期衝動とはこういった事が言えると思う。
だからこそ、今しか作れない音楽を彼女はしっかり作っているし、この熱量も今しか聞けない物になるかもしれない。
売れれば売れるほどに、経験を積めば積むほどに小綺麗に収まった音楽になって行くのは当然のこと。今後の活躍への期待を込めて是非今の湯木慧をチェックしてみて欲しい。