EQとコンプレッサーはどっちが先?Logic Proで迷わず比較する手順

EQを先にするべきか、コンプレッサーを先にするべきか。ミックスを始めると、同じ素材でも人によって説明が違い、迷いやすいところです。

結論からいうと、順番に万能の正解はありません。「コンプに入る音を変えたい」のか、「コンプを通った音の色を変えたい」のかで、最初に試す配置を決めると整理できます。この記事ではLogic Pro標準のChannel EQとCompressorを使い、順番だけの差を確かめてから仕上げる手順を紹介します。

まず、何に困っているかを一つ決める

たとえばボーカルなら、「低い声のところで全体が引っ込む」「音量は揃ったけれど声が暗い」「特定の言葉だけ刺さる」などです。全部を一度に直そうとせず、比較する区間と課題を一つ選びます。

EQ→コンプでは、EQで変えた信号がコンプに入ります。そのため、帯域の増減がコンプの反応にも影響する可能性があります。コンプ→EQでは、後ろのEQが手前のコンプの検出を直接変えることはありません。ただし最終的な音色やピークは変わるので、出力の確認は必要です。

ここでは外部サイドチェーンを使わない通常の直列接続を前提にします。検出用の信号やフィルターを別に設定すると、話が変わります。

Logic Proで比較の準備をする

元のプロジェクトを別名で保存し、気になるフレーズを含む短い区間をサイクル再生します。歌の大きい部分だけでなく、小さい部分や語尾も含めると判断しやすくなります。

対象トラックのAudio FXにChannel EQ、Compressorの順で挿します。順番を変えるときは、スロットを上下にドラッグし、挿入位置の線を見て移動します。移動操作はAppleのプラグイン操作ガイドでも確認できます。

比較中はリバーブやディレイのセンドを一時的に下げ、ほかの処理も必要に応じてバイパスします。元の値はメモしておき、最後に戻してください。複製したトラックで比較する場合は、同時に鳴らさないことも大切です。

設定例は「音を観察する入口」にする

CompressorはPlatinum Digitalを選び、Ratioを3:1、Attackを20ms、Releaseを100ms、Auto Releaseをオフにしてみます。Auto Gainはオフ、Mixは100%の処理音側にし、LimiterとDistortionもオフにします。Input GainやMake Upはまず0dBから始め、Thresholdを下げて大きい部分で軽くゲインリダクションが動く状態を作ります。

これは比較練習用の仮設定で、録音に合う推奨値や測定結果ではありません。入力レベルが違えば適切なThresholdも変わります。つぶれすぎる場合はThresholdを上げ、動作を弱めてください。AppleのCompressor主要パラメータでは、Auto Gainや入力・出力ゲインの役割を確認できます。

Channel EQは、いま困っている帯域を一か所だけ動かします。たとえば低域のもたつきを調べるなら、低い帯域を少し下げてみる。明るさなら高域を控えめに上げてみる。最初から複雑なカーブを作ると、何が反応を変えたのか追いにくくなります。

比較は二回に分ける

一回目は、EQとコンプの設定を固定して順番だけを変えます。EQ→コンプとコンプ→EQで、同じ歌詞の箇所を聴き、ゲインリダクションの動きも見ます。

ただし大きい音を良い音と判断しないよう、最後段に置いたGainなどで、比較する二つの聴感上の音量を近づけます。コンプの入力ゲインで合わせると圧縮の動作まで変わるため、ここでは使いません。ピークの数値だけが同じでも、聴こえる音量が同じとは限らない点に注意しましょう。

二回目は、気に入った順番でThresholdやEQを調整し直します。一回目は「順番で何が変わるか」、二回目は「この配置で目的の音を作れるか」を調べる時間です。設定を固定した比較で負けたから、その順番が使えないとは限りません。

よくある三つの判断例

低い声や不要な低域にコンプが引っ張られていると感じるなら、EQを先に試します。ただし低域を削っても問題が減らなければ、原因は別かもしれません。声の厚みまで失っていないかも確認します。

音量のばらつきは落ち着いたのに暗く感じるなら、コンプの後ろでEQを試します。高域を足した結果、息や歯擦音まで強くならないか、伴奏に戻して判断してください。

不要な帯域の整理も、最後の音色調整も必要なら、EQ→コンプ→EQという配置も候補です。ただし「二段にすれば高音質」という意味ではありません。各段に役割がなく、バイパスしても困らなければ、減らしたほうが管理しやすくなります。

差がわからないときは、無理に決めない

EQの変化が小さい、圧縮がほとんど動いていない、といった条件では差が目立たないこともあります。違いを作るために極端な設定にするより、元の課題が解消しているかを優先しましょう。

最後はソロを解除し、小さめの音量で伴奏と聴きます。「歌詞が聞き取れるか」「語尾が不自然に持ち上がらないか」「曲の勢いが残るか」を確認し、比較用に下げたセンドを戻します。

操作を復習したい場合は、Channel EQの初心者向け解説とCompressorの初心者向け解説を参照してください。

順番を暗記するより、課題を一つ決め、条件を揃えて比べる。その手順を持っておくと、別のボーカルや楽器でも判断しやすくなります。

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