たとえば、「もう少し落ち着いた曲にしたい」と思ってSunoのプロンプトに言葉を足したら、今度は好きだったピアノまで聞こえなくなった。そんなとき、次に何を書けばいいか迷いますよね。
第3回では、ジャンルごとのプロンプト例を紹介しました。今回は、ひとつの指示文を出発点にして、狙いに近づける手順を考えます。
ポイントは、楽器もテンポも声も一度に変えず、「次はここだけ」と決めること。音楽用語をたくさん覚えるより先に、聴きたい音と、実際に聞こえた音を分けてメモしてみましょう。
※この記事のプロンプトは、考え方を説明するための未検証の入力例です。実際に生成した音源や、指定どおりになった結果を紹介するものではありません。
1. まず「どんな曲にしたいか」を一文にする
最初から「おしゃれ、エモい、壮大、静か、踊れる」と並べると、自分でも優先順位がわからなくなります。まずは、こんな一文から始めてみてください。
「夕方の帰り道に聴きたい、ピアノが中心の、やさしい歌もの」
ここから、音の要素を取り出します。
・ジャンル:インディーポップ
・テンポ:ゆったりめを狙って90 BPM
・楽器:エレクトリックピアノ、ベース、控えめなドラム
・声:やわらかな歌声
・雰囲気:くつろいだ感じ
大事なのは、すべてを細かく決めることではありません。「ピアノの音色が好きだから、そこは残したい」のように、譲りたくない要素をひとつ決めることです。
同じ90 BPMでも、ドラムの刻み方や歌の詰まり具合で速さの印象は変わります。数字だけでなく、「落ち着いて聴けるか」という自分の目的も残しておきましょう。
2. SimpleとCustomで、指示を書く場所を分ける
Simpleは、曲のアイデアを説明するところから始めるモード。Customでは、自分の歌詞を入力する欄など、より詳しく指定するための項目が用意されています。Suno公式:自分の歌詞を入力する方法
今回のような曲調の説明は、Simpleなら曲の説明欄、CustomならStyle欄に入れる想定です。歌詞をそろえて比較したい場合は、Customで同じ自作歌詞を使います。歌わせたい言葉と、音色・テンポの指示を混ぜずに管理できるからです。
Simpleで試す場合も、説明文を1項目ずつ変える考え方は使えます。ただし、歌詞まで変われば曲の印象にも影響します。「楽器だけの違いを比較できた」とは考えず、気軽に方向性を探す段階と捉えましょう。
なお、公式にはCustomのAdvanced Optionsにある声の指定項目も紹介されていますが、この記事ではそれを必須にしません。画面や利用できる項目は、モデル・プラン・更新によって変わるため、手元の表示を確認してください。
3. 基準にするプロンプトをひとつ保存する
先ほどのイメージを短い指示文にすると、次のようになります。
【基準プロンプトA:未検証】
Indie pop, 90 BPM, electric piano, bass, soft drums, soft vocal, relaxed mood
意味は「インディーポップ、90 BPM、エレクトリックピアノ、ベース、控えめなドラム、やわらかな歌声、くつろいだ雰囲気」です。
英語にすると必ず伝わりやすくなる、という意味ではありません。ここでは、変更する単語を見つけやすいよう、短い英語の項目に分けています。自分が意味を説明できる言葉を選んでください。
基準文は上書きせず、メモに残します。Customで歌ものを作るなら、自分で書いた歌詞を用意して、比較中は同じものを使いましょう。他人の楽曲の歌詞を、そのまま入力する前提にはしません。
4. 楽器・テンポ・声・雰囲気を、ひとつずつ変える
以下はすべて、基準Aから1項目だけを置き換えた未検証例です。BからCへ変更を積み重ねるのではなく、毎回Aと比較します。4種類を一度に試す必要はありません。いちばん気になるところをひとつ選びましょう。
楽器:ピアノの質感を変えたい
【変更例B:electric piano → acoustic piano】
Indie pop, 90 BPM, acoustic piano, bass, soft drums, soft vocal, relaxed mood
狙いは、エレクトリックピアノからアコースティックピアノへの変更です。新しい楽器を追加するのではなく、同じ役割の楽器を入れ替えます。
聴くポイントは「ピアノらしい音色がどう違ったか」「歌との距離感は好みか」。指定した楽器が必ず前面に出るとは限らないので、聞き分けられなければ、そのまま記録します。
テンポ:もう少し軽快にしたい
【変更例C:90 BPM → 110 BPM】
Indie pop, 110 BPM, electric piano, bass, soft drums, soft vocal, relaxed mood
今回は数字だけを変えます。「energetic」や「powerful drums」まで加えると、速さと勢いのどちらが印象に関わったのか、整理しにくくなるからです。
聴くポイントは「歩く足取りが軽くなるような感じか」「歌が慌ただしくないか」。BPMの指定は、出力がその数値に正確に一致するという保証ではありません。耳で聴いた速さの印象と、測定した数値も区別しましょう。
声:やわらかさより、ざらっとした質感が欲しい
【変更例D:soft vocal → gritty vocal】
Indie pop, 90 BPM, electric piano, bass, soft drums, gritty vocal, relaxed mood
softはやわらかさ、grittyはざらついた質感を伝えるための語として使います。こうした声の表現は公式ガイドでも紹介されていますが、特定の声を完全に再現・固定する指示ではありません。Suno公式:声のスタイルの指定
今回は「歌声の質感が近づいたか」を確認します。実在する歌手の名前ではなく、欲しい声の特徴を自分の言葉にする練習にもなります。
雰囲気:くつろいだ感じに、ほろ苦さを足したい
【変更例E:relaxed mood → bittersweet mood】
Indie pop, 90 BPM, electric piano, bass, soft drums, soft vocal, bittersweet mood
狙いは、穏やかさ中心のイメージから、少し切なさのある印象への変更です。ただし、雰囲気を表す言葉は、ひとつの音だけを操作するつまみではありません。メロディや伴奏など、複数の部分が違って聞こえる可能性があります。
「切なくなった」とだけ書かず、「歌の語尾が寂しく聞こえた」など、そう感じた箇所をメモすると、次の指示を考えやすくなります。
5. 「狙い」と「実際に聞こえたこと」を別々に記録する
比較するときは、できるだけ同じモデル・歌詞・設定を使い、変更点を限定します。記録は、次の項目があれば十分です。
【比較メモ:結果欄は生成後に記入】
・試した日/モデル/入力した欄:
・基準の文:
・変更した1項目:
・変更の狙い:
・実際に聞こえたこと:
・好きだった部分/残したい部分:
・次に試すこと:
「アコースティックピアノに変えると必ず温かくなる」のように、予想を結果として書かないのがコツです。判断に迷ったら「違いがわからない」で構いません。
Sunoの生成結果にはばらつきがあり、同じ文でも同じ曲になるとは限りません。基準Aと変更Bを1回ずつ聴いただけでは、その差が変更した単語によるものか、生成ごとの違いなのかは確かめられません。
この方法は、効果を科学的に証明する実験ではなく、自分の好みと次の変更を整理するための手順です。利用枠に余裕があるときは同じ文の別候補も聴き、たまたまの違いを「必勝プロンプト」と決めつけないようにしましょう。
6. 無料で試すなら、今日は1項目だけ
まずは基準文と、気になる1項目を変えた文だけ。現在使えるモデルや残りの生成枠を画面で確認し、無理に何度も作り直す必要はありません。
無料プランで生成した曲は、個人的・非商用の利用が前提です。「試聴できた」ことと「収益化に使える」ことは分けて考えてください。外部で使う場合は、現行の条件を確認しましょう。Suno公式:無料プランの利用条件/Suno利用規約
まとめ:言葉を増やす前に、変える場所を決めよう
Sunoのプロンプトで迷ったら、まずは完成イメージを一文にする。基準の指示文を残し、楽器・テンポ・声・雰囲気のうち、ひとつだけ変える。そして、狙いと実際の聴こえ方を分けて記録する。
一度で理想の曲にならなくても、「この声は残したい」「ドラムはもう少し控えめがいい」と好みが言葉になれば、次に試すことが見えてきます。まずは好きな部分をひとつ残すところから始めてみてください。
Sunoシリーズを読む
・第1回:Sunoの始め方ガイド
・第2回:Sunoの使い方徹底解説
・第3回:ジャンル別作曲術
・AI音楽の記事一覧
※公式情報は2026年11月1日時点で確認しています。画面・提供機能・利用条件は変更される場合があります。シリーズの過去記事と現在の画面が異なる場合は、最新の公式案内を確認してください。